第273章

「ククは? あなたが連れて行ったの?」前田南は早足で駆け寄った。

彼女は車内を覗き込むが、助手席も後部座席も空っぽで、ククの姿はどこにもない。

時を同じくして、望月琛も彼女から漂う酒の匂いに気づいた。

彼の眉はたちまち寄せられる。「南、どれだけ飲んだんだ?」

幸いだった。今夜、ククの幼稚園のそばを通りかかったとき、他の園児たちは皆親に連れられて帰っているのに、ククが一人で門の前に立って待っているのを見かけたのだ。それで、まずは子供を先に引き取ってから、前田南を探しに行こうと考えた。

でなければ、ここまで酔っぱらっている前田南では、自分の面倒すら見られないのに、子供の面倒を見るなど到...

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